クーベリック・トリオ KUBELIK TRIO
チェコの偉大なる世界的指揮者ラファエル・クーベリック(1914〜1996)が、その父、名ヴァイオリニストのヤン・クーベリックの名を冠することを世界中で唯一認めた名門トリオ。プラハ音楽アカデミーで学んだメンバーにより1992年に結成され、本場ヨーロッパでも数少ない固定メンバーのピアノトリオとして高く評価されている。
ロンドンのヴィグモアホール、ボンのベートーヴェンハウスでデビューを飾り、ヨーロッパ全土で活躍のほか、アジア各地でもツアーを行い、絶賛を博す。その活動は幅広く、モンペリエ音楽祭、ドゥブロニク音楽祭、バルセロナ国際音楽祭、クロアチア音楽際など伝統ある国際音楽祭にも参加。また、ヨーロッパ各地のオーケストラとベートーヴェン、マルティヌー、ヴォジーシェクのトリプル・コンチェルト(三重協奏曲)を演奏するなど、めざましい活躍を続け、チェコ共和国芸術祭(2000年日本ツアー)を経て、2004年にはドヴォルジャークイヤー・チェコ音楽祭に出演し、各地で好評を得る。最近の日本に於いては、コンサートのほか2003年、広島交響楽団定期演奏会でのベートーヴェンの三重協奏曲は、TVでも全曲放映され話題になる。
録音活動も活発に行い、これまでに、GZ、モニターEMI、エクストンレーベルなどからCD10枚をリリース(ライヒャの世界初録音も含む)。
結成15周年にあたる今年は、ヨーロッパ各地での公演のほかに今回の日本ツアーおよび11月中旬から南米ツアーも予定されており、今後をますます注目されている実力派アンサンブルである。
<< クーべリック・トリオ命名の由来 >>
当時、1990年ごろのチェコでは、亡命後、故郷の地を踏むことのできなかった幻の伝説的指揮者ラファエル・クーべリックが、ビロード革命後、数十年ぶりに故郷へ凱旋帰国。チェコフィルの指揮台に立ち、プラハの春音楽祭での「わが祖国」は、歴史に残る熱狂的な名演となり、国内外の音楽界にセンセーショナルな影響をもたらした。
自由を取り戻したチェコの人々は、生きるためのエネルギーを惜しむことなく発散し、音楽家達は、ラファエル・クーベリックのカリスマ性と、その崇拝される人間的なスケールの大きさに身近に触れることができた。
ピアノトリオを結成にするにあたって、クーべリック氏の教えを受けたいという願いは、その熱い活気のの漂うプラハの街では、ごく自然なことでした。
「若い音楽家を育てよう、長年経験、体験してきたことを将来の楽壇を担うミュージシャンに直接伝授したい」という姿勢を貫き、誰とでも嫌な顔ひとつせずに、応対してくださるクーべリック氏の偉大さに心を打たれ、チェコの弦を代表する父上、名ヴァイオリニスト、ヤン・クーべリック氏のお名前を拝借して、トリオの活動をスタートさせたいことをお伝えしたところ、快く承諾してくださったので、「クーべリック・トリオ」と命名。
氏は、将来を担う若い音楽家の卵に対し、家族の一員と等しい温かい応対で抱擁してくださり、そのオーラは一生忘れることのできない。貴重な感動の瞬間でした。」 |